横島 若騎(わかき) 氏(H4年 社会学部卒) 第4回 リリー賞を受賞
〜ひとりひとりの輝くあしたへ〜 

リリー賞=「精神障害者自立支援活動賞」
主催「精神障害へのアンチスチィグマ研究会」
  
国内の精神保健現場で地道な苦労を重ねながらも、智恵やネットワークを生かした独自性のある活動で障害者の社会参加を支援している方や、困難な状況を克服して社会参加を果たした精神障害者の方の中から、特に優れた活動をされている方に贈られる賞。

(この賞は全国でこの部門で2人、福祉部門で2人の計4人です)  


受賞式にて(‘07.12.05)

 右端が横島氏
(東京永田町・全国町村会館にて)

 受賞の理由は 統合失調症を持つ当事者であることを公表。ピアノ、バストロンボーン、リュートなどの奏者として少しでも多くの人と演奏を通して触れ合うことで、精神障害者に対する理解を深め、偏見のない社会をめざす啓発活動に取り組んでいることが評価された。

[プロフィール]

歳からピアノを演奏。中学校では吹奏楽部に所属してトロンボーンを担当、高校はバストロンボーンを演奏、関西学院大学では応援団総部吹奏楽部でトロンボーンを担当して第36回全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞する。

この間、20歳で統合失調症を発症するも、大学卒業後に楽器研究のためドイツ、ベルギー、オーストリアのウイーンに3年間滞在。帰国後の1995年7月にピアニストとしてデビュー。
2003年6月に音楽事務所P.p&p.Cを設立。CDの制作販売や出張演奏の活動を行っている。(高槻地域生活支援センター専属ピアニストでもある)


受賞を喜ぶ 横島さん 自宅事務所にて

(以下読売新聞12月20日号より抜粋)

統合失調症を公表して音楽活動を続けるピアニスト、横島若騎(わかき)さん(38)(高槻市)が自宅に音楽事務所を設けて府内のレストランなどで「出張演奏」を続けている。

病に負けない前向きな姿勢が評価され、精神障害者自立に取り組む個人・団体を表彰する「第4回リリー賞」を受賞。

横島さんは6歳からピアノを始め、中学、高校時代はトロンボーンも演奏。大学入学後も「吹奏楽部」で活躍し1年のとき全国優勝も経験している。

しかしその前後に人間関係からくるストレスから統合失調症を発病し、入院した。一度は「完治した」と診断され、卒業後大手スーパーに入社したが数週間で再発、退職を余儀なくされた。

だが、決して悲観することはなかった。興味があった「楽器史」を学ぼうと、1992年から3年間、ドイツに滞在。そこで知り合った友人の「音楽は自己満足ではなく、人に聴いてもらうもの」との言葉に刺激を受けた。いかにうまく弾くか、だけを考えてきたが、友人の一言が「聴き手」を意識するきっかけとなった。

帰国後、転機が訪れる。一度聴いたら即興でアレンジできる横島さんの才能に気づいた姉が市内のレストランを紹介。そこのオーナーらは横島さんの演奏レベルの高さに驚き、ピアニストとしての“デビュー”が決まった。

レストランは3年後に閉店したが、2002年には「高槻地域生活支援センター」の専属ピアニストとなった。

長年、体のだるさなど薬の副作用に悩まされ続けたが、その翌年、自分に合う薬が見つかって副作用はなくなった。同じ年、個人音楽事務所「P.p&p.C」

を設立して、出張演奏を開始。昨年には初めて作詞・作曲したオリジナル曲や、アレンジ曲のCDを制作・販売するなど充実した日々を送っている。

リリー賞は学識経験者らでつくる『精神障害へのアンチスチィグマ研究会』(神戸市)主催で、障害を乗り越え社会参加を果たした人らに贈られる。横島さんは「全国の様々な場所で演奏し、オリジナル曲も増やしていきたい」と笑顔で語る。

    出張演奏などの問い合わせは同事務所 ピアノポピュラーアンドプレイカンパニー 
             電話 072−686−3312
へ。
      詳細はhttp://www.wakakipppc.com/ をご覧ください

喜びの 横島 若騎 氏 より一言。

このたび第4回リリー賞の「精神障害者部門」を受賞いたしました。

このような大きな賞をいただき、身に余る光栄でございます。

この賞を受賞することに当って、ご協力いただいた、NPO法人「精神障害と社会を考える啓発の会(略称せいしゃけい)」にまず、感謝の意を表します。あと、私の定期演奏会を毎年おこなっている高槻地域生活活動センターのスタッフの方、NHK教育テレビにて「きらっといきる」出演の際、お世話になったNHKのディレクターの方、国際グラフ掲載の時にお世話になったスタッフの方、リュートの演奏会を開催した大阪市西区障害者・児ネットワークのスタッフの皆様、どうもありがとうございました。

今回の受賞がきっかけになって、統合失調症でもこういったピアニストという健常者でも難しい仕事が出来ることを、証明できたことが一番嬉しいです。

今回受賞することに当って、このリリー賞に恥じない演奏をしていきたいですし、全国どこへでも演奏に行きます。

私を選んでいただいた「精神障害へのアンチィグマ研究会」の選考委員の方々には、感謝の気持ちでいっぱいでございます。

これからは統合失調症のピアニストとして活動を続けていきますので、みなさんどうぞよろしくお願い致します。今回はどうもありがとうございました。       

 平成19年12月5日

                    横島 若騎(よこしま わかき)

( 取材・編集 事務局 石川 )

 

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