平成22年6月12日(土)
 
 
関西学院同窓会高槻・島本支部は 去る6月12日(土)上記セミナーを開催しました。

セミナーは支部同窓会との併催で 第一部として催されてきました。今回で第6回目となります。

この公開セミナーは第2回目より教育問題をテーマに開催してまいりましたが、近年、学校や家庭における「心の教育」の重要性がクローズアップされつつあり、今回はこのテーマを教育臨床の立場からとりあげました。

開演は14時ですが、今年も定刻20分前にほぼ満席となる盛況でした。

今回は昨年からご出席いただいた教職関係の皆様を始め、子育て中の一般市民の方でご夫婦や複数のご家族参加、ボランティア活動をしておられる方など4割近い一般市民の皆様に参加いただき、お蔭さまで今年も120名の定員にたいし、定刻前に140名を越える盛況となりました。



それでは概略をご報告します。

講演内容:

現在の日本では、暴力行為・いじめ・不登校などの教育問題が多様化・複雑化する中、
「キレる」行動などの衝動的な攻撃行動による子ども殺しや親殺しという重大事件も発生し、
大きな社会問題となっています。

これらの子どもたちの行動の背景としてはさまざまなことが考えられますが、
その大きなものとして深刻な家族関係をはじめとする人間関係の破れがあると考えられます。
そして、現在の子どもたちは日々時間に追われ、心身ともに疲れを感じています。
また、高度に産業化されることによって「24時間型社会」に変貌しつつある日本社会では、生活の乱れも見逃すことはできません。
他方「幸福度世界一」のデンマークでは、家庭でゆったりと時間を過ごし、家族との時間を大切にしています。

そこで本講演では、
子どもたちに大きな影響を与えている現在の家族関係・人間関係の特徴をもとに、
生活実態に関する具体的なデータをあげ、さまざまな面で日本と対極にあるデンマークの様子を紹介しながら、私たち大人が親としてそして人生の先輩として、疲れと不安を感じている子どもたちにできることをともに考えていきたいと思います。

講  師: 小谷 正登 氏 

関西学院大学教職教育研究センター准教授

専門:臨床教育学、臨床発達心理学、生徒指導学

経歴:関西学院中学部・高等部、本学経済学部、文学研究科修士課程を経て、
約20年間にわたって中学校及び高等学校などの教壇に立つ。

高等学校教員として勤務しながら夜間大学院に通い、子どもたちの「心の育ち」を研究し博士(臨床教育学)を取得する。

本センター専任講師に2003年就任、2006年より現職。

2009年度には、デンマーク・オーデンセ市にあるリレベルト大学に留学し、ペダゴー(社会生活支援士)について研究を行う。

また、現在は日本学術振興会科学研究費補助金を受け、研究代表者として大規模な生活実態調査の結果を分析し、「生活臨床(生活の建て直し)」の必要性についても研究を進めている。
本センターおよび文学研究科において、「子どもと共に笑うことができる教師」の養成を行う。

また、学生の指導だけでなく、兵庫県立高等学校キャンパスカウンセラー、西宮市育児発達相談員、現職教員対象の研修会講師、私立幼稚園での「子育て支援事業」担当者などとしても活躍している。

 ≪アンケート結果≫
今回の講演は、臨床研究家の講演らしく、パワーポイントによる多角的なテーマと豊富な調査データによる講演でした。
内容要約に代え当日のアンケートの「具体的に参考になった事」について「教職関係」と「一般市民」の皆様の回答多かった項目を紹介します。

【1】 教職関係
1. コミュニケーションが上手にとれない子ども、挨拶の出来ない子どもがふえている
⇒・三つの「ア」の大切さ→挨拶・明るい笑顔・アイ(愛)コンタクト
⇒・コミュニケーションの充実「会話だけでなく、対話を」→言葉にならない「ことば」を理解する。
カウンセリング・マインドの必要性(三つの「キク」・聞く・訊く・聴く)
2. 家庭教育(子育て)・学校教育の
⇒三無主義 →・責めない・決め付けない・問い詰めない
3. 子どもの現状を知り、大人がどのように関わっているか学ぶことが出来た。これを私だけにとどめず、保護者にも伝えていこうと思った。

【2】 一般市民
1. デンマークの教育方針 →・自己表現・自己決定・創造性・社会性
2. 子どもの睡眠時間 → ・生活パターン・人格形成への影響
3. 子育ては終わったが →・孫との会話・生活に関し大いに参考になった。
            →・子ども教育が国の基幹であると痛感。
4. 子育て中 小子化  ⇒・子どもとの距離を保つ重要性 
   →5つのし過ぎに注意 
    1.情報の取りすぎ
    2.心配しすぎ
    3.期待しすぎ
    4.くっつき過ぎ
    5.はなれ過ぎ
以上

文   藤井 昭治 (S36年 法学部卒)
写真  阪口 茂一 (S38年 商学部卒)
               
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